石田洋也「参観日に出たトマト」

 
 昨日の荒野さんの「私のアフガン体験とその後」とはうって変わって、今日のお話は随分とやわらかい話でした。お話したのは石田洋也・京都芸術センター事務局長です。
 蓼食う虫は好き好きというように、人の嗜好は千差万別です。とりわけ食べ物においては、好きな人からすれば「あんなに美味しいのになんで・・・?」と思うものを、食べることの出来ない人がいます。たとえば、納豆。関西の人の多くは納豆を好んで食べない、という話を聞いたことがありますが、納豆好きの僕からすれば「なんで・・・?」という感じです。
 さてさて、今日お話した石田は、お話のタイトルにあるように、トマトを食べることが出来ないそうです。口に入れることは勿論、においを嗅ぐだけでもだめ。深刻なトマト嫌いです。今回のトークでは、そんな石田のトマトをめぐるエピソードの数々が披露されました(ちなみに上に掲載している画像は、石田がトマトを切っているところです。この後石田はおよそ10年ぶりにトマトを口に運ぶこととなります)。
 
 今回のてんとうむしプロジェクトのギャラリートークにおいてはさまざまな方に自由にお話をしてもらうことになっています。ただし、トークの内容はいずれも、お話をする人が実際に体験したことや経験したことに限定しています。ですので、今回の一連のギャラリートークでは、お話する人のバックボーンや人となりが自然と明らかになってくるでしょう。
 本日の石田のトマトの話もまた、石田の人となりを垣間見せてくれたのではないでしょうか。京都芸術センター事務局長としての石田洋也ではなく、トマト嫌いな人としての石田洋也。人はさまざまな「顔」を持っていますが、その「顔」が社会の中で明かされることは決して多くはありません(むしろ正確に言えば、社会とはさまざまな「顔」を抑圧する装置なのでしょう)。今回のトークでは、石田の新たな「顔」が垣間見えたのではないかと思います。(京都芸術センター安河内)